平成アニメ話 ∀ガンダムの時に富野さんに教わった演出術

2021年6月14日 オフ 投稿者: animeoyagi

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 ∀ガンダム(1999年)の演出として参加した当時は自分にとっても濃密な日々を送っていたように思う。

 監督の富野さんは雑談にはほとんど応じてくれないが演出術や演出論についてはかなり細かく教えてくれた。

 これからは学んだ事を時々書いていこうと思っている。

 今回はその中で登場人物の強弱における画面構成について語る。

 こちらの理解不足と文章力の弱さもあるので正しく伝わるか不安だが、とりあえず覚えている事を書いてみようと思う。

 とりあえず何かを考える時の参考になればと思う。

 まず基本的には登場人物で物理的にも心理的にも強い者(物)は特別な説明(事前の説明)が無い限り画面の右側に位置している。

 そのためその視線(または向き)は画面の左側となる。

 (ただし自分の中ではこの左右の強弱についてはまだ明確な結論が出ていない。今でも考えている最中である。)

物理的に・精神的に強い者(物)の向きは左向き

 さて、話を戻そう。

 この文章を書くにあたって機動戦士ガンダムの第1話を確認してみたが以下の通りであった。

 ザクの初登場シーンは左側へ進行。つまり強い何かであることを表現している。

 戦艦ホワイトベースの初登場シーンも左側を向いている。

 ただしシャアの初登場シーンは画面の右を向いて立っていた。おそらく侵入したジオン軍とはサイド7を挟んで反対方向に位置しているためと思われる。戦争映画では強弱に関わらず地理的に左右が決定されることがある。

 マニュアルを持ってガンダムに向かって走るアムロは左へ。強い意思を表現。

 起動して立ち上がったガンダムは左側を向いている。対して侵入して来たザクはいつの間にか画面の右側を向いてガンダムに対面している。

 ガンダムは強く見え、それまで辺りを破壊していたザクが弱い位置に置かれている。途中で強弱を入れ替えている。

 最期のザクと戦うガンダムは右向き。アムロがサイド7に被害が及ばない戦いを強いられて精神的に追い詰められているからだろう。

 シャアの名台詞、「認めたくないものだな。自分自身の若さゆえの過ちというものは」の時はほぼ正面向きだった。強弱は不明な謎の人である。

 シャアのシーン以外は概ね富野さんに教えてもらった通りなので、1979年の機動戦士ガンダムの時点ですでに理論は出来上がっていたのだろう。

 他の作品でも使っているが、強弱の立場の変化はうまいこと正面アングルや左右の体の入れ変えを行っているので参考にされたい。

映像における画面の左右 戦争映画編

平成アニメ話 先輩が教えてくれた演出術

 

 

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