いつかどこかで役に立つ 野球に無知だった少年が『大正野球娘。』の監督になるまで

2021年6月4日 オフ 投稿者: animeoyagi

【キャンデト茶】

 野球に興味を持ったのは1976年のことである。

 自分は1958年の生まれなので高3ぐらいの年齢だ。

 それまでは野球中継などほとんど見たことがなく、プロ野球もせいぜい巨人の選手とその有名なライバル数人を知っていたくらいだ。

 おまけに野球のルールはてんで知らなかった。

 これほど野球に無知な子供が後に『大正野球娘。』の監督になれたなどとはこの時点では知る由もないのである。

 なぜ突然興味を持ったのかと言うと、第一期長嶋巨人が最下位に転落したからである。

 自分が子供時代は巨人・大鵬・卵焼きの時代で、プロスポーツと言えばダントツでプロ野球であった。

 従って野球を知らない子供は少なく、試合のあった翌日の教室では長嶋や王の活躍の話題でもちきりだった。

 自分は子供の頃から偏屈で、「皆がやるなら自分はやらない」主義だったので、プロ野球の話題には背を向けて生活していた。

 四百勝投手金田の晩年や全盛期の江夏などと同時代を生きていたのにその記憶がほとんどない。

 今にして思えばとても残念である。

 ただしマンガのドカベンや男どアホウ甲子園、巨人の星などは読んでいたのでボンヤリとそれらの選手たちの凄さを知ってはいた。

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 話を戻そう。

 その偏屈が理由で野球を観るようになったのだ。

 1974年に巨人のスーパースター長嶋茂雄が引退。

 翌75年に巨人の監督に就任したがあの常勝軍団が最下位に転落したのだ。

 それまで巨人は9連覇を成し遂げるなど輝かしい成績を誇っていたので、別に俺が応援しなくてもいいだろ、くらいに思っていたのである。

 それが最下位となったので、なら応援してやるかと考えを変えたのだ。

 それが1975年の秋のことである。

 ただ応援しようにも野球のルールが分からない。

 そこでまずルールブックを購入し端から端まで読むことから始めた。

 ※ 覚えたわけではない。一応目を通したといったレベルである。


公認野球規則 2021 Official Baseball Rules

 ひと通りルールブックを読んだあとは当時手に入る野球の本を全て買うか図書館で読んだ。

 週間及び月間ベースボール・マガジンなどの野球雑誌やムック本。買い残していた野球関連のマンガや小説・ノンフィクションなど手当たりしだいに読んでみた。

 そして春になり野球シーズンが始まると開幕から日本シリーズまで、放送された巨人戦は全て観た(他球団の放送はNHKで時々放送していたくらいだった)。

 テレビは7回や8回位で一部地域を除いて放送が途中で終わってしまうのでラジオ放送に切り替えて、試合の最後まで聴いたものだった。

 こうして野球に触れてみて、なんと面白いスポーツなのだろうと思ったのだ。

 その面白さを倍加させてくれたのが牧野茂や野村克也らの著作だった。

 漠然と見ていた野球を深い考えがあってプレーしている選手たちがいることに驚いた。

 野球は思いのほか深いのだなと思ったのはこれが始まりだった。


これが巨人戦法だ―初めて公開する参謀白書 (1974年)

 そして後に野球漫画でも書けたらいいなという気持ちで資料を集めていたが、「書けたらいいな」くらいの根性では漫画家になれるわけもなく、その夢は儚く散ってしまった。

 それでも野球関連の本は目についたら買って読んではいた。

 別に野球漫画を描こうとは思わなかった。

 まあ、趣味のようなもので惰性で読み続けていたのである。

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 最初に野球に興味をもち、その知識を使うあてもなく30年以上過ぎた頃、プロデューサーから、

「これ読んどいて」と渡されたのが『大正野球娘。』の原作だった。

 私は二つ返事で引き受けて大正時代の風俗や野球について調べ始めた。

 『大正野球娘。』で役に立ったのは昔に読んでいたベースボールマガジンの戦前の日本野球やメジャーリーグ(当時は大リーグと言っていた)の解説記事だった。

 これのおかげでたいして回り道をすることもなく目的の資料にたどり着けたのだ。

 0から始めていたら自分は潰れていただろう。

 今はスマホがあるので調べたい事柄の多くは検索でたどり着ける。

 しかし下地がなければ何を検索すれば良いのか分からなかったり手間取ったりするのだ。

 ある大学教授の言葉に「その専門分野の知識を覚えていることが専門家なのではなく、どの本を読めば良いのか知っているのが専門家だ」というのがある。

 気になることがあったら調べてみるとよい。

 人間どこで何が役に立つのか分からないものなのである。


野村ノート (小学館文庫): (小学館)


落合博満の超野球学〈1〉バッティングの理屈


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