『光と水のダフネ』の思い出 テレビシリーズ初監督ゲット
私のテレビシリーズ初監督作品は『光と水のダフネ』だった。
2004年1月から7月まで放送された深夜帯のニメである。
内容はかいつまんで言うと地球温暖化が進んだ近未来の海洋都市で水着のお姉ちゃんたちが活躍するSFアクションアニメだ。
ご覧になった方の中にはこの説明に異論がある者もいると思うが、とりあえず飲み込んでくれ。
ともあれコスチュームが過激すぎるとのお叱りを受けたこともあるが、それと作画クオリティーに目をつぶる寛大な心があれば、まあ楽しめる作品だと思う。
最後まで観てくれた方の中には「泣けた」との感想があり、最後まであきらめないで頑張って良かったなあと思った次第である。
特に不慣れな監督に振り回されたであろうスタッフやキャストなど作品にかかわった皆さんにはお詫びとともに最後まで付き合ってくださってありがとうと言いたい。
とにかくテレビシリーズ初監督作品なのでとても愛おしい作品だ。
さて今回語るのはその初監督をゲットした時の思い出である。
まず私がテレビシリーズの初監督をやったのは45歳の時である(放送時に46歳になった)。
はっきり言って初監督時の年齢としては遅いほうだと思う。
同年配や後輩が次々と監督の座を射止めるのを悔し涙を流しながら横目で見ていたものだ。
監督というのは不思議なもので、なかなかなることができない職業だ。しかし、一度なれると次々と監督の仕事が転がり込んでくる。
しかし最初の一歩がとにかく難しいのだ。
そんなこんなで四十半ばを迎え、これから先どうしたものかなあと悲観していたところ、知り合いのプロデューサーから電話があった。
「最近仕事はどうよ。今は忙しい?」
私はピンときた! これは監督の依頼だ!
しかし何と答えればいいのだ?
「今は忙しいです」と答えると、「あっそう、じゃあまたね」と電話を切られそうだし、
「暇です」と答えると、この時期に暇とはどいうことだといらぬ疑いをかけてしまいそうで怖い。
ここでチャンスを逃してたまるかと、私は必死で考えた末にこう聞いた、
「何かあったんですか?」
これならまず相手が答えなければならない。
相手の答えはテレビシリーズの監督を探しているけど興味ある? だった。
もちろんあるに決まっているので二つ返事で引き受けた。
こうして私は初監督をゲットしたのだ。