『SHIROBAKO』の打ち上げに参加して自分の中の人に会った話
『SHIROBAKO』(シロバコ)は、P.A.WORKS制作、水島努監督による、日本のオリジナルテレビアニメ作品。2011年制作の『花咲くいろは』に続く「働く女の子シリーズ」第2弾。2014年10月から2015年3月までTOKYO MXほかにて全24話が放送された。
多分2015年の春だったと思う。
『SHIROBAKO』の打ち上げが行われるのでぜひ参加してくださいとの連絡があった。
【打ち上げ】とは作品に参加したスタッフや声優・音響・プロデュースに携わった方々などの慰労をかねて行われるパーティーのことだ。
一応大人の集まりなので酒が入り、二次会・三次会、時には四次会・五次会と夜明けまで乱暴狼藉が繰り広げられることになる(後半は盛っているので鵜呑みにしないように)。
自分は『SHIROBAKO』にはスタッフでは参加していない。なのになぜ参加の連絡が来るかというと登場人物のモデルだからである。
こいつだ。
名前は池谷ひろしという。
つまり私はアニメ用語でいうところの中の人ならぬ外の人である。
というわけで打ち上げだが、最近の打ち上げでは自分が歳をとったせいか知り合いに会うことが少なくなってきてね。高齢化で現場から離れる人が多くなってきたからだ。
パーティー会場で誰かと談笑するわけでもなく、部屋の片隅にポツンといることがあったりするのだ。
これは寂しいぜ。とても悲しいぜ。
だからSHIROBAKOの打ち上げもあんまり気が進んでなかったのよ。
でも、まあ、久しく会っていない監督の顔でも見に行くかなあというわけで出かけたのさ。
で、打ち上げの会場に着いてみたら、いるわいるわ知り合いだらけ。
「やあ、久しぶり! あなたたちもSHIROBAKOのプロデューサやってたんだ!?」
「いえ、ボク、キャラクターのモデルです」
「ボクもです」
お前らもかよ。
打ち上げ会場で出会った知り合いの大半はキャラクターのモデルだった。
おいおい。
モデル料は出ない代わりに今回の打ち上げでタダ飯を食い・タダ酒が飲めるのだ。
久しぶりに会った人たちと歓談したあとで、酔いざましに外で涼んでいると声をかけられた。
「あのう、失礼ですが池谷さんのモデルになったかたでしょうか?」
「そうだけど?」
「あの、ボク、金髪の進行をやっていた声優なんですけど」
高梨太郎の中の人吉野裕行君だった。
ああ、いたいた。あのキャラクターだ。
「ああ、その節はどうもお世話になりました(何をだ?)」などと歓談しているうちに私はあることを思いついた。
「ねえ、池谷の声の人は今日来てる?」
「あ、来てますよ。ご紹介します」
というわけで池谷ひろし役の菅原雅芳さんを紹介してもらい、一緒に写真を撮ってもらったのだった。
自分をモデルにしたキャラクターの声優さんと話すのって、すげー不思議な気分だぜ。
菅原さん、なかなかのイケメンでいい声してるのな。元ネタがこんなおっさんですまんな。
結果的には楽しい打ち上げだった。
中でも重圧から解放された若い進行さんたちが、はしゃいでいたのが微笑ましかったな。
君たちは誇っていいぞ。とても良い仕事をしたのだから。
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