いつから明治時代という言葉が使われるようになったのか調べてみた
前回は大正時代という言葉がいつ頃から使われるようになったのか、青空文庫の全文検索を使って調べてみた。
結果が意外なものだったので、それに味をしめて今回は「明治時代」がいつ頃から使用されていたのかを青空文庫の全文検索を使って調べてることにする。
青空文庫
さて右上の全文検索に明治時代と入れてみた。
いきなり出てきたのは『半七捕物帳』で有名な岡本綺堂の「江戸と東京」に書かれた『明治時代の湯屋』である。
タイトルからいきなり「明治時代」が登場し、文も冒頭から、
明治時代の湯屋について少しく調べたいことがあったので旧い雑記帳を引っくり返したり、旧い記憶を呼び起したりした。
と書かれている。
書かれたのは1938(昭和13)年4月だ。
前回「大正時代」の初出が大正2年だったので、「明治時代」のほうが使われたのが遅いということはないだろう。
というわけで古い作品を探してみた。
『東洋史上より觀たる明治時代の發展』「太陽」第十九卷第一一號
1913(大正2)年8月
著者は桑原 隲蔵(くわばら じつぞう、明治3年12月7日(1871年1月27日) – 1931年(昭和6年)5月24日)で、Wikipediaによれば
、日本の東洋史学者・京都帝国大学教授。1898年に出版された著書『中等東洋史』は、東洋史教科書の定番となった。
とあった。
明治が終わりを告げたのは1912年(明治45年)7月30日なのでこの文が掲載されたのは約1年後のことである。
大正もそうだったが明治もなかなか早い。
もっと古いものはないかと探していくとこんなのがあった。
『四百年後の東京』
著者は正岡子規(1867年10月14日〈慶応3年9月17日〉 – 1902年〈明治35年〉9月19日)。
正岡は明治を明治を代表する文学者の一人代表する文学者の一人で大変な野球ファンで、1896(明治29)には『ベースボール』という一文を書いている。
『ベースボール』正岡子規はこちらで↓
https://www.aozora.gr.jp/cards/000305/files/43619_16934.html
さて『四百年後の東京』だが初出は「日本」1899(明治32)年1月1日。
その文は、
(前略)あるとある贅沢、あるとある快楽、凡そ人間世界に為し得べき贅沢と快楽を攅めて装飾したるこの地は到底明治時代の想像に及ぶべくもあらず。(後略)
とあり。なんと明治の真っ最中に書かれた文の中に「明治時代」という単語が出てきている。
ちなみに『四百年後の東京』はそのタイトル通りに四百年後の東京を描写しているので、未来からみた「明治時代」なのだろう。
『四百年後の東京』に興味のある方はこちらから↓
https://www.aozora.gr.jp/cards/000305/files/50391_39294.html
それにしても今回も私にとっては意外なオチだった。
今度は「江戸時代」を検索してみることにしよう。