うる星やつら2 ビューティフル・ドリーマー(1984)の思い出
監督押井守の出世作。
うる星やつらは深田恭子と寺田心がラムちゃんとテンちゃんを演じる東京ガスのCMで観たことがあるだろう。
延々と文化祭前日を繰り返すというある意味楽しく、ある意味悪夢な状況に気づいた主人公たちの物語。
個人的には監督の押井守がはじめて「映画」を作った作品だと思う。
実はアニメおやじはこのアニメに撮影として関わっている。
若い頃の思い出深い作品の一つだ。
この作品がそれまで自分が撮影として関わってきたものと大きく違っていたのが、1カットの尺が長く暗い画面のシーンが多いということだった。
当時はセルという透明な塩化ビニールのフィルムに着色したものを重ね合わせて撮影していた。
だから暗い背景の上にセルをのせると付着したホコリやセルの傷が目立ってのう。目立たぬようにホコリを取るのがそれはそれは大変じゃった(遠い目)。
つまり、普通の作品に比べて撮影にとても時間がかかっていたのだよ。半日かけて1カットなんてざらにあったのだ。
とうぜん撮影の評判は悪かった。労働者としては早く終わらせて帰りたいもんな。もちろんワシもそうじゃった。
ある日のこと、それまで撮影したフィルムを仮編集したものがスタジオに届けられ、撮影スタッフで映像の確認を行った。
その映像を観た我々は言葉を失った。いま自分たちが撮影している作品が並の作品ではなく、特別なフィルムになるであろうことが確信できたのだ。
それからは作品に対する不平不満は消滅し、我々撮影は黙々と仕事に打ち込んだ。ゲンキンなものだな。
ただ、当時のアニメ親父はまだ駆け出しでの。自分にもっと技術があればもっとこの作品に貢献できたのにという思いがあった。
まあ若かったということだな。
それはともかく、この作品にかかわれたことは幸せだったな。
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