アニメの助監督のお仕事『探偵オペラ ミルキィホームズ』
自分が助監督の仕事をするようになって10年以上になる。
私はなぜ助監督という仕事をやっているのだろう?
普通この業界に入る演出志望の青年は、ゆくゆくは監督になりたい、というのがひとつの目標だろう。
いきなり助監督になりたいと思う人間はごく少数だと思われる。
監督経験者の自分も流転の果てに気付くといつのまにか助監督の仕事をしていた。
どうやって助監督になるのかはそのうち語ることにする。
アニメの助監督というポジションは昔はほとんどなく、最近になって増えてきている印象だ。
これまで自分が助監督としてテロップが出ているのが以下の作品になる。
探偵オペラ ミルキィホームズ (2010年)
探偵オペラ ミルキィホームズ 第2幕 (2012年)
やはり俺の青春ラブコメはまちがっている。続 (2015年)
この美術部には問題がある! (2016年)
月がきれい(2017年)
ISLAND(2018年)
ひぐらしのなく頃に業(2020年)
全部で7本。特にここ数年は助監督の仕事が増えているなあと思う。
さて、ここで助監督の仕事内容を説明しようと思うがこれがなかなか難しい。
ひとくくりに助監督のお仕事はこれです、と説明しづらいのだ。
自分がかかわった7本もそれぞれ助監督としての仕事内容が違っている。
なので各作品ごと個別に仕事内容を説明していこうと思う。
第一回は『探偵オペラ ミルキィホームズ』
2010年12月16日に日本のブシロードからPlayStation Portable用ソフトとして発売したアドベンチャーゲームが原作だが、アニメの方は主人公たちの知能が著しく減退しているのが特徴。
ストーリーはアクシデントで「トイズ」を失ってしまったミルキィホームズたちが悪戦苦闘する、というアニメ独自の展開になっている。
で、この作品の助監督としての仕事内容だが、もっぱらオールラッシュ後のリテーク作業が主であった。
この作品では自分が担当している各話の絵コンテ作業と演出作業以外他の仕事はアフレコとダビングに参加するくらいで他は一切していない。
オールラッシュとは一度出来上がったカットを全部つないでみて、絵の崩れや動きや内容のミスを確認する作業のことだ。
ここで出たミスや勘違いを正しい方向へと直してゆくのがリテーク作業となる。
自分は何をしていたかというと、オールラッシュで出たリテークカットのうち直す方法や時間的余裕のないカットを受け持つ。
素材を持って撮影さんの所に行き、二人であーでもないこーでもないと調整して鑑賞に耐えると思われるカットにするのが仕事である。
これにかかる期間がおおむね2日である。
オールラッシュから2日後にV編(納品状態の映像を組む作業)だったのだ。
あとの5日は出番がないのでダラダラしていたので、端から見ていると週に2日しか働かない助監督であった。
皆さんの気になる助監督のギャラは一話につき新幹線で東京・名古屋を五往復するのにちょっと足りないぐらいだ。
これが多いのか少ないのか、いまだに判断がつかないがまあよしとしよう。
そうして出来上がったのがこれだ↓
BOX1には記念すべきTVシリーズ第1作「探偵オペラ ミルキィホームズ」全12話を収録!
なぜかBlu-ray box の表紙が主人公たちのライバルになっているのだな。