アニメの演出・助監督・監督の違いについて
アニメの各ポジションについては文章で語るより下に掲載してあるアニメを見ていただくのが一番手っ取り早いと思う。
アニメのお仕事について楽しく説明してあるので業界を理解するのにもってこいだ。
さて、アニメにおける演出・助監督・監督の違いについて語っていこう。
まずは演出から。
素人さんが最初に困惑するのが、なぜ一本の映像作品に演出と監督が存在するのだろうという疑問だ。
かくいう私も田舎でアニメを見ている頃に思った。
どっちも同じじゃないの? というのが素直な気持ちだろう。
これは英語のディレクターとシリーズ・ディレクターに置き換えれば理解しやすいかもしれない。
演出が各話のその一本の責任を取るのに対して、監督はシリーズ全話数の責任を負う。
できれば監督が全話数の演出をするのが映像の内容にブレがなくて良いのだろうが、現在はあまり現実的ではない。
なので各話を演出に任せる。
他人に演出を任せて作品の統一ができるのかというと、そのために絵コンテがある。
絵コンテにはなすべき演技やアクション、セリフなどがそれを行う時間が指定されている絵のある台本のようなものだ。
演出や各スタッフは絵コンテを見て作業を進めてゆく。
その絵コンテを自分で書いたり、他人が書いた絵コンテをチェックするのが監督の仕事の一つである。
これを監督が統括することによりシリーズのテイストを一様にしている。
では助監督は何をしているのかというと(あくまで自分の経験した範囲内での話だ)、各話の演出と監督の間に入って、それぞれの作業がスムーズに行われるように助言やチェックなどを行ったり、何らかの理由で作業ができなくなった演出の仕事を引き継いだりしている。
まああれだ、監督が本来成すべき仕事に専念してもらうための雑用係的側面もある。
監督が演出面の土俵を決める。
各話の演出は決められた土俵の中でその腕を振るう。
助監督はその土俵を掃き清めたり、演出が俵を踏み外さないか注意している。
ざっくりとそんな感じだ。
ちなみに演出・助監督・監督のすべてを努めたことのある自分の体験から一番大変なポジションはどれかというと、
監督だ。
何が大変かって、全て自分で決断しないといけないからだ。
決断は孤独な作業である。
また、逆に言うと、この決断をしない奴やできない奴にはリーダーの資格はない。
監督とはそんな職業だ。