アニメ助監督のお仕事 『やはり俺の青春ラブコメはまちがっている。続 (2015年)』
アニメの助監督のお仕事第3回目は2015年公開の『やはり俺の青春ラブコメはまちがっている。続 』である。
1期目はいち視聴者として楽しんでいたのでこの作品の助監督を引き受ける際に作品内容の把握から行わなくて済むので大変に楽だった。
知らない作品を引き受けるときには前作の映像を確認したり原作を読んだりするのは結構大変な労力と時間を使うのだ。
さて助監督らしい仕事を本格的にやり始めたのがこの作品である。
仕事内容はと言うと、
主にコンテ撮素材の制作。演打ち。色・背景打ち合わせ。撮影との打ち合わせ。編集の立ち合い。アフレコの立ち合いなどである。
具体的な仕事内容を順に説明すると、
コンテ撮素材の制作は監督から絵コンテが上がってきた段階で私が動きやセリフのタイミングを計り、シートをつけて撮影する。
出来上がった映像は動くコンテの絵である。
動くと言っても原画撮影に毛が生えた程度のものであるが、これを繋いで仮の編集を行う。
監督はこれを見て全体像をつかみ、不必要なカットを削ったり演技や動きの修正指示を出し、その後に各話を担当する演出へとコンテ撮の素材とシートを降ろして作業をしてもらう。
事前に監督が内容を把握できるのと、演出の経験不足や勘違いを減らす意味合いの強い行程だ。
ちなみにこのコンテ撮の素材は約8割くらいを私が担当し、この演出さんなら大丈夫となった場合のコンテ撮は本人に任せた。
続いては演打ち。
監督立会いのもと各話の演出に絵コンテを見ながら演出内容の要望や確認などを行う。
これには私も立ち会い内容をメモしてゆく。
そして色・背景打ち合わせと撮影との打ち合わせ。
これは基本的に各話の演出が主導で打ち合わせをするが、助監督はときおり全話を俯瞰した状態での指示や要望を出す。
もっぱら監督を他の作業(絵コンテのチェックとか)を行ってもらうために助監督が補佐している感じだ。
続いては編集の立ち合い。
各話の演出が担当した原画チェック後の映像をアフレコやダビング用に編集する。
アフレコは声優さんが芝居の声を入れる作業。ダビングはさらに音楽や音を足して放送できる状態にする作業のこと。
両方ともスタジオで音響スタッフが行う。
編集に関して助監督の私は自分の意見や感想を監督や編集に伝える。
意見の採用は監督の領域なので、たとえ意見が通らなくても別に何とも思わない。
そしてアフレコの立ち合い。
これは数回参加して以後立ち会うのをやめた。
理由は2つあって、ひとつは監督や原作者が現場にいるのでわざわざ助監督が立ち会う必要もなかろうというもの。
もう一つは絵コンテ撮の作業が大変なのでそちらの時間を確保したいというものだった。
以上がこの作品における助監督の仕事内容だ。
この作品の助監督をやったおかげでかなり生活が安定した。
約半年間、翌月のギャラの心配をしなくて良いのは本当に助かった。
opのコンテ・演出もさせてもらい大変に勉強にもなった、とてもありがたい作品である。