スマホや携帯のない時代の待ち合わせについて
ある時、若い制作さんから、「スマホがない時って待ち合わせはどうしていたんですか?」
と聞かれたことがあった。
これからその待ち合わせ方法について述べるが、なぜこんなことを書くのかというと、その昔「大正野球娘。」というアニメの監督をしていた時に、昔の風俗を調べるのに大変苦労した思い出があるからだ。
歴史的な事件などの記録は多いが、一般庶民がどのような暮らしをしていたのかという記録は極めて少ない。
なぜなら変わったことは記録に残りやすいが、普通なことは記録する理由がないからである。
だって当時を生きている人々はみんな知ってる事だから、わざわざ記録に書き残さないのだよ。
さて、いよいよスマホがない時代の待ち合わせ方法について記録する。この文章が後世の誰かの役にたてばよいが。
まず「いつ」「どこで」待ち合わせするかを話し合って決める。
学生の場合、単身で上京している場合は自宅に電話がないことが多かったので、直接会って、顔を合わせて決める。
「午前10時」「新宿アルタ前」とか、「午前11時」「渋谷ハチ公前」などと決める。
とにかく待ち合わせ場所はお互いに分かりやすい場所が良い。
今でもハチ公前は大賑わいだな。
そして先に着いた者は決めた場所から動かない。
なぜなら後から来た相手に見つけてもらうためだ。
「今、改札をでたよー。どの辺にいるのー?」というわけにはいかないのだ。
この場合、待ち合わせ場所に先に着いたと勘違いし、互いに相手に見つけてもらおうとして自分で探す努力を怠るという悲劇が生まれたりする。
集合時間だが、大抵は五分前集合にしていたと思う。
そのほうが集まって定刻と同時に行動開始がしやすいからだ。
だが、遅刻してくるやつがいる。
待っても待ってもやって来ない。
互いに電話を持っていないので連絡方法はない。
待つ側にとって、遅刻の理由が「寝坊」なのか「電車の遅延」なのか全く分からない。
だから気の利いた待ち合わせ方は、「10時集合。30分だけ待つ。来ない場合は理由の如何によらず各自自由行動」なんて方法があった。
困るのは絶対に待たなければならない場合。
「恋人」とか「上京してきた両親・友人」などだ。
この場合は相手が姿を現すまでひたすら待ち続ける。
自分の場合は12時間待って相手にすっぽかされた事がある。翌日相手を問い詰めると、「すまん、忘れてたわ」だった。
ひどい。