ビビリによるホラー映画の鑑賞法
私は子供の頃から怖いものが苦手である。
ウルトラQの「クモ男爵」「2020年の挑戦」「悪魔ッ子」などは夜にトイレに行けなくなるほど怯えた。
どうしてもトイレに行かなければならないときは部屋から廊下までの明かりをすべて点けて向かったものだ。
小学生高学年のときに怪奇大作戦がクラスで話題になったが私は頑として観なかった。
しかし昼休みの話の輪に入りたい一心で一本だけ観てみることにした。
タイトルは「恐怖の電話」
名監督実相寺昭雄の傑作であったのが悲劇であった。
冒頭ある裕福そうな家庭の居間の電話が鳴る。
その家の娘さんが電話に出て、受話器を父親に渡す。
「どなたからだい?」
「それが名前をおっしゃらないの」
父親が怪訝な顔で電話に出たその瞬間、受話器から「キーン」という甲高い音が鳴り響き、ブワッとその父親が発火したのだ。
おどろおどろしいドラマのテーマ曲が鳴り響く中、発火した父親が床に倒れ落ちる。
私は心のなかで「うわああああっ!」と悲鳴をあげながらテレビの電源をオフにした。
この続きを見たのは約十年後の二十歳を過ぎてからである。
かように怖い話が苦手な私だが十数年ほど前に、映像を仕事にしている以上色々なジャンルを観るべきだろうと一念発起して「ホラー映画」に手を出してみた。
ホラー映画の紹介本など買って片っ端から観まくってみたのだった。
ただし観るのには細心の注意をはらった。
まず夜には見ない。昼に観る。
部屋の明かりはもちろん全ての明かりを点灯する。
突然ならないようにスマホの電源はオフにする。
ヘッドホンの音量を小さくして、モニターには近づかない。
このくらいの心構えが必要だった。
こうして私はホラー映画を見まくったのだ。
それで分かったことがある。
私は「スプラッター映画」「連続殺人鬼」「謎のモンスター」は全く大丈夫だったのだ。
むしろ面白いとさえ思った。
そりゃあ見ているときにびっくりすることはあるが、後をひかないのだ。
で、後を引くのは何かというと「心霊もの」だ。
あれはいかん。
正体不明の何かが出てきて、最後まで正体不明なんてのが一番怖い。
「リング」の前半なんかは私にとってかなり怖い。
ところで私は「女優霊(1996年 中田秀夫)」のDVDを持っているのだが、未だに未開封である。
だってレビューを見たら後を引く怖さなんだもの。