仏教国タイの無慈悲なヒーロー
タイ王国の宗教はWikipediaで調べたところによると、
仏教(南方上座部仏教)95%、イスラム教4%、キリスト教、他にヒンドゥー教、シーク教、道教など。
とあったので、大雑把に仏教国だと思う。
2003年のタイのアクション映画『マッハ!!!!!!!!』では村の守護神として大事にされてきた「オンバク」と呼ばれる仏像の頭部をギャングが盗んでしまう。
これを取り戻すために主人公は村の代表としてバンコクへ向かい、ギャング達と闘う。
通常この手のアクション物は最後の大物とその用心棒だけを退治して、手下のチンピラは軽くぶっ飛ばしておしまいというところなのだが、この主人公はチンピラに対しても手を抜かない。
必殺のムエタイ技で次々と破壊してゆく。
マッハシリーズの特徴は「CGを使いません・ワイヤーを使いません・スタントマンを使いません・早回しを使いません・最強の格闘技ムエタイを使います」であり、おまけに「打撃は直接当てます」なので痛々しい事このうえない。
観ていてチンピラたちがかわいそうになるくらいだ。
続編の『トム・ヤム・クン!(2005)』もほぼ同じである。
主人公は盗まれた象を追ってシドニーにやってくる。
象は仏の使いで、それを盗むなど言語道断、絶対に許さないとばかりに敵を「打撃は直接当てます」で壊滅させる。
もちろん容赦は一切なしだ。
1974年に制作された円谷プロダクション、チャイヨー・プロダクション合作の劇場映画『ウルトラ6兄弟VS怪獣軍団』もすごい!
こちらの物語も仏像泥棒が登場するのだが、巨大化したハヌマーンが強盗を追いかけ回し、「仏様を大切にしろ! 大切にしない奴は死ぬべきなんだ!さあ、殺してやるぞ!」と握り潰す。
泥棒たちは許しを請うが無駄である。
わずか三例ではあるが分かったことはタイ王国では「仏様」を大事にしない奴はその時点で『死のフラグ』が立つのである。
グレーゾーンはなく白黒が実にはっきりしている。
仏の慈悲も許しも無い。
なんと無慈悲なのだろうか。