仕事で携わったアニメたち 2009年 大正野球娘。
『大正野球娘。』は神楽坂淳によるライトノベル作品が原作。
タイトルを見ての通り「大正」時代に「娘」たちが「野球」をする話である「。」
大正時代の時代考証に苦労した作品だった。
何しろ私が大正時代に持っていたイメージは「袴姿の女学生が自転車に乗っている」というもの。
そう。大和和紀による漫画『はいからさんが通る』のイメージである。
考証を進めていくうちにわずか十五年の大正時代にも大きな変化があったことが分かってきた。
たとえば大正後期の女学生の制服が着物袴姿からセーラー服へと変化していったことである。
大正中期の小学生の写真を見ると男子は半ズボン、女子はエプロンドレス姿というのが多かったので、洋服を着るということに全く抵抗がなかったのだろうと思われる。
『大正野球娘。』の原作はその転換期を描いている。
他にも調べているうちに色々と面白いことが分かってきた。
「あんみつ」や「位置について。よーい。ドン」は昭和になってからとか「タオル」はすでに使われていたなどである。
ちなみに時代考証の一部には↓をつかわせてもらった。
さて、野球の考証だが、それほど苦労はしなかった。
中学までは野球に全く興味がなく、当時の球界の覇者には嫌悪感すら抱いていたのだが、巨人は1975年のシーズンで球団創設以来初の最下位に終わり、ならば応援してやろうと一念発起して、野球を勉強し始めたのだ。
その当時手に入った野球の本を手当たり次第に読破していった。もちろんルールブックも読んでみた。
これが約35年後に役に立つことになるとは思わなかったな。
『大正野球娘。』で一番役に立ったのは『週刊ベースボール』の戦前の野球を語る記事だった。
おかげで『大正野球娘。』に使う大正時代の野球の資料には、たいして回り道をせずにたどり着けた。ありがたいことである。
他にも野村克也・牧野茂らの著作には大いに助けられた。
『大正野球娘。』の制作中に開催されたワールド・ベースボール・クラシック(英語: World Baseball Classic、略称:WBC)第2回大会もいい思い出だ。
決勝戦でのイチローのヒットにはしびれたなあ。