南極観測船『ふじ』の思い出
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『ふじ』は『しらせ』の前に建造された二代目南極観測船であり、日本では初となる極地用の本格的な砕氷艦である。
しかも自衛艦としては初のヘリコプター搭載艦だったそうだ。
その『ふじ』が私が小学五年生のときに住んでいた稚内にやって来て、社会見学で乗船できることになったのだ。
ウィキペディアによれば、『ふじ』は1965年(昭和40年)3月18日に進水、7月15日に竣工している。
私が乗せてもらったのは1968年なので出来たばかりの最新鋭艦であった。
小学生の雑誌『学習』などに特集が組まれることが多かった船だったのでクラスの男子たちの間では大いに盛り上がった社会見学だった。
船内は一部をのぞいて自由に見学することができ私は大いに楽しみながら散策した。
甲板へ出ると生徒たちが船員さんを囲んでサインをねだっていた。
おお、そんなことをしてもよいのかとテンションが上った私はノートを片手にサインをねだる輪に加わった。
するとそこにやけに華やかな制服を着たおじさんが通りかかった。
「おじさんは何をしている人ですか?」
と聞くと、おじさんは笑顔で、
「副船長だよ」
それを聞いた生徒たちはうわあーっと歓声をあげて副船長のおじさんを取り囲んだ。
さっきまでサインをねだっていた船員さんはもちろんほったらかしだ。
副船長さんはひとつも嫌な顔をせずサインをしてくれた。
このときのサインがあればこの記事に画像を上げるのだが、いつの間にかどこかに消えてしまった。
残念である。
さてその後の『ふじ』は1984年4月11日退役。
ウィキペディアによれば、南極観測に関する博物館として名古屋港ガーデンふ頭に係留され1985年8月から一般公開されており、船内の食堂・居室・診療所・理髪店などを蝋人形で再現し、それを通路から窓越しに見学できるようになっているそうである。