帰省中に見た、初めて北海道旅行に来た家族連れを見た哀しみについて
お盆の帰省がどーたらこーたらともめているらしいが、今回のお話は北海道旅行についてである。
元道民の自分が言うのもなんだが、夏の北海道は本州に比べれば湿度が低く空気もうまい、空が広くてそれは天国みたいなものさ。
夏はな。
二年ほど前に東北新幹線を使って新函館北斗駅に降り立ったとき、家族連れの賑やかな声が飛び込んできた。
「北海道、着いたねー」
「涼しくていい天気だねー」
新幹線ホームから在来線ホームへの移動中に、若い家族の微笑ましい会話を聞くともなしに聞いていると、
北海道に来たのは初めて。
これから列車に乗って札幌に向かう。
札幌でレンタカーを借りて道内を刊行する。
とりあえず「旭山動物園」と最北端の「稚内」と最東端の「根室」は観てみたい。
日程は三泊。という計画を立てていることが分かった。
無理だ。
やめとけ。
そう思った。
彼らは北海道のスケールを分かっていない。
北海道のスケールを分かりやすく絵にしたのが下の画像だ。
あああ、これじゃない。
こちらだ。
あああ、これも違う。
これだ、これだ。これが正解だ。
函館から札幌までは列車でざっくりと三時間半。時間的にも今日はそこでおしまいだろう。
これで一泊。
翌日は札幌駅から日本最北端の宗谷岬まで351km。
車で約5時間半。朝8時に出れば13時半には到着する。ただし旭川の旭山動物園の滞在時間は考慮に入れていないので、動物園を訪れるとしたらこの日は稚内で一泊することになるだろう。
これで二泊。
さあいよいよメインイベントだ。
稚内から最東端の納沙布岬まで517km。車で休みなしにぶっ飛ばして約9時間。
朝の8時に出たとすると午後5時ごろ岬に到着する。
岬を堪能した後、根室まで23km戻って3泊目。
翌日は飛行機に乗らなければアウトだ。
根室から新千歳空港まで387km。車で約5時間半。
朝8時に出て13時半に到着する。
何だかやる気になればできてしまいそうだが、彼らは観光に来たのであってラリーに来たわけではない。
だいだい今の行程に「休憩」は一切考慮されていないのだ。
この一家とは札幌まで同じ列車に乗ったのだが、お子さんは旅の疲れで座席でぐったりとしていなあ。
その後彼らはどうなったのだろうか。
無事であれば良いのだが……。