昭和アニメ話 ビデオデッキのコマ送りが出来なかった頃の話
ベータマックス(βマックス、Betamax)1号機(SL-6300)は1975年4月16日に発表され、同年5月10日に発売された。価格は22万9800円。
VHS(ブイ・エイチ・エス、Video Home System:ビデオ・ホーム・システム)は1976年(昭和51年)10月31日、日本ビクターがVHS第1号ビデオデッキ(品番:HR-3300)を発売、当時の金額で定価25万6000円であった。
これらのビデオデッキはアニメ・特撮オタクにとっては神の機械であった。
それまでは番組は放送されたらそれっきり。
再放送なんていつされるのか全く分からない。
ところが録画さえしておけば自分の手に番組が残るのだから、いつでも好きな時に観ることができるようになったのである。
これは革命的ですらあった。
私がホームビデオを手に入れたのは1977年頃だったと思う。
録画した『太陽の王子ホルスの大冒険』『宇宙戦艦ヤマト』『未来少年コナン』などを擦り切れるまで何度も観たものだ。
好きな番組を堪能しているうちに欲が出てきて、これらの動きはどうやって作られているのだろうと思うようになり、その探求を始めた。
当時はスロー再生やコマ送りなどの機能はなく、食い入るように画面を見て動きの内容を探っていたのだった。
1979年に東京の専門学校に入った時、貯金をはたいて8mmカメラを買った。
確か6万円くらいしていたと思う。
これで録画しておいた『赤毛のアン』を撮影して動きの内容をコマ送りで見たのだ。
ああ、瞬きは2コマで動かしているのだなあ、などと感動したものさ。
それはそれは勉強になったぞ。
ただ8mmには欠点があってな。
フィルム代と現像代が馬鹿にならないくらい高いのだよ。
確か両方込みで4000円弱くらいだったような気がする。
しかも撮れるのがたったの3分だ。
貧乏学生には痛い出費だったが、暗い部屋でフィルムをビュワーで回して観るのは楽しい思い出ではあったな。