昭和アニメ話 月末食事事情
今でも変わらないと思うがサラリーマンの月末は辛いのである。
撮影会社に努めていた1983年の私もそうだった。
週明けの月曜日が給料日なのだが、土曜日に武運拙く経済が破綻したのである。
そこで私は学生時代の友人の羽根君に金を借りようと考えた。
撮影会社は西武新宿線の田無にあり、羽根のアパートは東急池上線の洗足池にあった。
当時、田無から新宿までは通勤定期を使えたので問題はなかったが、池上線の始発駅である五反田までの料金が発生した。
金欠で痛かったが仕方がない。五反田までは遠すぎる。
私は夕食も摂らずに電車に乗った。
ただし五反田から洗足池までは節約のために歩くことにした。
試しに現在の運賃をアプリで調べてみたら157円とでた。
当時は110円とか120円くらいだったのではないか。
まあ、それくらい切迫していたのである。
五反田から洗足池は約5.5km。
雨がそぼ降る中を小一時間ほど歩き通して洗足池へとたどり着いた。
「おーい羽根ー。金貸してくれー」
「おう池端ー。今金ないのさ。給料日は月曜さ」
そう、彼も金欠だったのである。
しかし、こちらも金がないので帰るわけにもいかず、とりあえず羽根の部屋に泊まることにした。
困ったのは空腹である。
聞くと羽根もまだ夕食を摂っていないと言う。
そこで二人で有り金を出しあってインスタントラーメンを買いに行った。
買えたのは5袋であった。
これで二人が土日を過ごすのである。
どう分けて食べるのか、二人はすぐに意見の一致を見た。
土曜に3袋。日曜に2袋である。
このように分けた理由は、来るか来ないかわからない不確かな明日より確かな今日を選んだためである。
具のないインスタントラーメンを二人で分けて食い、寝っ転がりながら映画や小説、将来の夢など語りながらその日は眠りについた。
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ロリポップ!
翌日の日曜日。
金がないのでどこにも行けず、体力を温存するためただ部屋でゴロゴロしているだけである。
残ったラーメンは2袋。
これを昼食にするか夕食にするかではモメた。
そんな所に神が訪れたのである。
「おーい羽根ー。いるかー?」
二人の共通の友人が訪ねてきたのである。
私と羽根は飛び起きて彼の足元にすがった。
「金持ってるか?」
「あ、ああ。うん」
その日は彼に金を借りてぴえろという喫茶店に行き、ナポリタンのセットで空腹を満たしたのである。
今にして思うと毎月のように綱渡りをしていたような記憶があるなあ。
↓ で電話をかけてきたのが羽根くんです。
超時空要塞マクロスの思い出