昭和グラフィティ 小学生時代の横綱大鵬についての思い出
大相撲にボンヤリとした興味を持ったのは小学校低学年の頃だったと思う。
昭和三十年代後半から四十年代前半の頃だ。
父親がテレビでNHKの相撲放送を観ていたので私も付き合って横で見ていたのだ。
折しも日曜日の千秋楽で結びの一番は横綱の大鵬だったのを覚えている。
相撲を観て夕食に鳴るのが我家の定番だったのだ。
大鵬幸喜(たいほう こうき)は1961年(昭和36年)横綱に推挙され、引退までに幕内最高優勝32回を数えた昭和の名横綱だ。
彼は強く美しかった。
子どもたちにも受けが良く、「巨人・大鵬・卵焼き」という言葉があったくらい大人気だったのだ。
その大鵬が結びの一番で勝利した時に私の脳内で大混乱が起きた。
なぜならアナウンサーがこう言ったからである。
「横綱大鵬、十四勝一敗で○度目の優勝です」
これのどこで大混乱になるかと言うと、
横綱が一敗している。横綱は負けないから横綱なのではないのか?
一敗しているのに優勝している。負けたらそこで終わりではないのか?
まあ無知な小学生の勝手な思い込みが原因である。
という具合で横綱は負けても横綱で、相撲はトーナメントではないので一度くらい負けても優勝するのは可能なのだと知るまでしばらく時間がかかった。
今でも相撲をよく知らない人や子供も同じような感想を持つものがいるかもしれない。
いや、いてほしい。