決して無宗教ではない 日本人の宗教観について
普通の日本人にあなたの宗教は? と聞くと大抵は、
実家は浄土真宗ですがボクは宗教を信じていませんと言うのではないか。
葬式などには坊さんを呼ぶが仏教を信じているわけではないと。
私の宗教観も大体そんなものだ。
つまり日本人のほとんどが自分は無宗教だと思っているのが実情だろう。
ところが最近は意外とそうでもないのではないかと思い始めている。
ひところラノベやマンガやそれらを原作にしたアニメでは転生ものが大流行であった。
転生など理論的に考えてありえない、バカバカしいと思うのであればこれほど流行はしなかったであろう。
つまり日本人はどこかで転生を信じているのではないか。
もしくはあったらいいな、くらいは思っているのではなかろうか。
死後、人はどうなってしまうのかは哲学や宗教上の永遠のテーマだが、日本人は魂の存在をなんとなく意識しているはずだ。
たとえば母を亡くした幼い子供に、
「お母様はあなたのことを空から見守っていますよ」
なんてシーンをあなたは何の違和感もなく受け入れることができるだろう。
つまり魂はあり、その受け入れ先の天国まであるからである。
もしくは先ほど説明した「あったらいいな」くらいは思っているはずだ。
例えば「心中」がある。
近松門左衛門の曽根崎心中では「未来成仏うたがひなき恋の手本となりにけり」と結ばれ、お初と徳兵衛が命がけで恋を全うした美しい人間として描かれている。
この世で結ばれることが出来ないカップルが「あの世」で結ばれるべく一緒に死を選ぶのだ。
これは「人間死んだら終わり」という発想ではないと思う。
初詣に行き神社でお賽銭をあげるのも立派な宗教行為だと思う。
10円玉を賽銭箱に投げ入れて、手を合わせ、願い事をする。
この時、誰に願っています?
神なんているわけないと思っていたら出来ない行為なのではないか。
少なくとも神様がいて願いを叶えてくれたらいいなあくらいは思うでしょ?
日本人の心のなかには宗教が静かに眠っているのだと思う。
決して無くなったわけではないのです。
あなたが気づいていないだけなのだ。