超時空要塞マクロスの思い出
『超時空要塞マクロス』は1982年10月から毎日放送(MBS)製作、TBS系列で放送されたTVアニメシリーズだ。
前年の81年にアニメ業界に入った私は根っからのアニメおたくであったが、仕事の忙しさのためアニメを観る時間が激減してしまった。
ビデオに録画はするが鑑賞するよりも睡眠を選んでいたのだ。
こうして仕事としてアニメを選んだがために、趣味としてのアニメからは徐々に遠ざかってしまった。
アニメが好きで、これからアニメ業界に入ってみたいなあと思っている方はこのあたりを気に留めておいてほしい。
で、日々の仕事に忙殺されて二年ほど過ぎたころ、学生時代の友人Hから電話がかかってきた。
「すごいアニメを観たぞ。まず異星人の攻撃を受けた地球人が全滅するんや」
すげえ出だしだな。
「それだとそこで話はおしまいだろう?」
「ところがや、一部の人類は巨大な一隻の戦艦の中で生き延びて生活しているんや」
私はSFは嫌いではない。この当時SFといえばトレンドの最先端だったのだ。
私はHの話に食いついた。
「ほう、それで?」
「その戦艦に敵の宇宙人が無数の宇宙戦艦で総攻撃をかけてくるんや!」
「それでは苦戦必至ではないか! 人類の未来はどうなる?!」
「ところがや、その戦艦が変形するのや!」
「何に?」
「巨大ロボット」
私の頭の中に「?」が灯った。
「さっき戦艦の中に生き残った人類が住んでいると言わなかったか? 変形して巨大ロボットになってしまったら中の人々はどうなる?」
「避難はするがそのまま生活しとる」
「……」
まあ、いい。言いたいことはいくつかあったが、心の片隅に引っかかっているのは設定上のある致命的な欠陥である。
「いいかHよ。いくら変形した巨大ロボットが強かろうと戦力的劣勢はいなめまい。さっき敵は無数と言ったはずだが、この劣勢をどう覆すというのだ?」
興味のある方はランチェスターの法則を調べていただきたい。要は戦力は多ければ多いほど勝ちやすいというものである。
しかしHはひるまない。
「人類には秘密兵器があったんや!」
「どんな?」
「アイドルが歌って敵を全滅させるんや」
私の脳はフリーズした。
どう考えてもHの話を私の頭の中で論理的に構成できなかったのだ。
しばらくは頭の中で「?」が渦をまいていたものな。
マクロスはその後アニメファンの間で話題になり、ヒロインのリン・ミンメイの人気はそれはすごかったな。
TVシリーズ終了の一年後、満を持して公開されたのが『超時空要塞マクロス 愛・おぼえていますか』である。
もちろん観に行ったさ。頭の中の「?」を打ち消すために。
観て分かったことがある。
理屈ではない何かがこの世には存在するのだということが。
そう、かのブルース・リー曰く
「考えるな、感じろ」なのである。
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