魔法の言葉 もう〇〇に学ぶものはない
1979年に社会学者エズラ・ヴォーゲル著作による『ジャパン・アズ・ナンバーワン』(原題:Japan as Number One: Lessons for America)が発売された。
今流行の「すごいぞ日本 日本は世界一」のはしりみたいな本である。
太平洋戦争敗戦のどん底から始まった日本の経済力が世界一のアメリカに追いつき始めていたのだ。
私の実感としてもかつての生活モデルとしての「憧れのアメリカンライフ」というものは無くなっていた。
なぜならホームビデオやウォークマンなど世界をリードする家電が日本から誕生していたのだから。
1980年代には日本が空前の好景気に沸いていたバブルの時代に突入した。
この頃は日本全土の土地代でアメリカ全土が購入できたそうである。
まあ、ある種狂ってたい時代だったのだ。
その頃にやばい内容の記事を見た。
ある有名企業のエライ人がインタビューでこう語っていたのだ。
「もうアメリカに学ぶことはなにもない」
これを見たときにもう日本は駄目かもしれないなと思ったのだ。
「もう〇〇に学ぶものはない」
この言葉は発した瞬間に前進する勢いが停止する魔法の言葉である。
なぜなら自分が先頭でもう学ぶものはないからだ。
はっきり言えば驕りであり、油断が始まっている。
だから停止する。
現状維持ならまだいい。
ところがこの言葉を発した瞬間に後退が始まるのだ。
なぜならこの言葉を発していない誰かは常に学び、前進を続けているからだ。
そうして気がつくと、この言葉を発した人間は誰かの後塵を拝しているのだ。
この時、前を追いかけるのは大変だ。
先を行くものは学び続けているので、追いつくのは相当な努力が必要だろう。
もし自分の会社や組織のリーダーがこの言葉を発したらとても危ない兆候である。
これが魔法の言葉なのは、発した瞬間からその効力が現れるからだ。
気をつけたほうがいい。
そう言えばネットでどこかの国の記事を見た。
「もう日本に学ぶものはない」
大丈夫か世界?